ガルシアです。
あなたが誰かに悩みを話したとします。
でも、その話の中にあなたの
《悩み》の本体は存在しません。
なんだかこのままでは
分かりにくい話になりそうなので、
具体的な例を挙げてみます。
たとえば、営業成績が上がらなくて、
毎日部長に呼び出されて
怒られている営業マンがいるとします。
もうかれこれ、ひと月以上も契約を取れていないので、
毎日1時間近くもガミガミ怒られているとします。
今週も毎日部長に怒られて、
金曜日の夜に同僚と飲みに行ったとします。
「もう、毎日部長に怒られて、
ほんと嫌になるよ・・・」
と、同僚に愚痴をこぼしながら、
《毎日部長に怒られて困っている》
という悩みを相談したとします。
人間関係のことや仕事のことでも、
健康や身体的なことについてでも、
借金や経済的なことでも、
人は必ず「今こうなっていて、悩んでいるんだ・・」
という言い方をします。
そして、悩みを話す側も聞く側も、
その話の内容こそが《悩み》の本体だという前提で
「それは困りましたねぇ・・」
とか言いながら話を進めるはずです。
もちろん、そこで、
「それは困りましたねぇ・・」と言うのは、
今聞いた内容がその人を困らせている
《原因》であり《悩み》だからです。
今聞いた話の内容が、
その人を困らせている、
とお互いに思っているからです。
でもじつは、そこが間違えています。
その人の悩みの本体はそこにはありません。
どう考えても、一般的には、
これを《悩み》と言うのだと思いますが、
じつはその《出来事》が
直接その人を悩ませているのではありません。
その人はその出来事に
悩まされているわけではないのです。
その人が悩んでいるのは、
毎日部長に怒られているからではなく、
「ということは、また月曜日になったら、
怒られるに違いない」
「来週の火曜日も水曜日もずっと
俺が契約を取ってくるまで、
毎日起こられるに違いない」
という、その人の未来に対するイメージが
この営業マンを悩ませているのです。
つまりこの営業マンの《悩み》の本体は
毎日怒られている、という
《過去に起きた出来事》ではなく、
これから起きるであろう、
未来の出来事に悩まされているのです。
その証拠に、たとえば、
仮にこの部長が今週いっぱいで定年退職で、
来週の月曜日は出社せず、
夜に送別会があることが決まっていたら、
この営業マンの金曜日の夜の同僚との飲み会は、
愚痴や悩みではなく、
きっと祝杯に変わっていたはずです・・・
でも《毎日怒られた》という事実は何も変わっていません。
この営業マンが同僚に相談した悩みの内容は、
なにひとつ変わっていないのです。
変わったのは《未来のイメージ》です。
「きっとこうなるに違いない」という
未来のイメージが変われば、
わたしたちの悩みは無くなってしまいます。
もちろんこれは、
「部長がいなくなるとイメージすれば
悩みは無くなります」という話では無いし、
ましてや、
「部長がいなくなるイメージをすれば、
部長はいなくなります」
という話でもありません。
あなたが「起きるはずが無い」
と思っていることを、
あなた自身が心から信じることは
できないからです。
でも、確かに未来のイメージが変われば、
悩みは消えてしまいます。
わたしたちは起きた出来事や、
過去に悩まされているのではなく、
「ということは、次に同じような
シチュエーションになったときに、
きっと同じような目に会うに違いない」
という未来のイメージにこそ
悩まされているのです。
過去に悩まされているわけでは無い、
悩みは過去には存在しない、
ということは、
心のしくみから言えば、
トラウマは存在しない、
ということになってしまいます。
トラウマの本体は過去ではなく、
あなたの未来に対するイメージにこそあるのです。
トラウマが解決するのは、
過去のイメージが変わったからではなく、
その人の未来に対するイメージが変わり、
未来に希望が持てるようになったからです。
「次に同じようなことが起きても、
きっと以前とは違う感じになるに違いない」
と信じることができるようになったからです。
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